仏像・仏画の修理修復

私ども井上仏壇では、お寺様の歴史の長い仏像や仏画から、個人のお客様が大切にされている仏像まで、高い技術の職人の力で、きれいに修理修復を行っております。





大切に手を合わせてこられた仏像仏画を、彦根の熟練の技術にて、きれいに修理修復いたします。

仏像修理の流れ

下記の流れ、手順で進めてまいります。

ご相談・ご依頼

訪問・お見積り

お預かり

お預かり時の阿弥陀如来像

詳細な点検・解体

木地出し (金箔、塗りの除去)

部材ごとに解体して金箔下地除去

欠損した蓮の花びらを補修

木地の補修 (ヒビ、虫食い等)

下地工程

塗り工程(数回)

塗り完了

仕上げ (金箔押し、彩色等)


組立て・検品

納品
このような流れで、仏像の修理を行っております。
お仏壇の買い替えやお洗濯の際に、仏像・仏画を一緒に修復されることが多いです。また、仏像・仏画の修復だけされることもあります。長い間お家を見守ってこられたご本尊等をこの先も長くおまつり頂くことが出来ますので、修復可能な場合は、修復をおすすめしています。長くおまつり頂いた仏像は油煙やホコリなどで非常に汚れていることがほとんどです。表面だけでなく、仏像の木材部分「木地」にもひび割れや剥離、虫食いなどが発生していることがあります。他にも一部分が欠損していることや、以前に下手な修復が行われていることもよくあります。当店の修復ではお客様のご要望やご予算にあった最適な修復方法をご提案させて頂いております。
通常の修復方法として別記の様に、金箔や塗りを全て除去し、木地の状態にて修復後、再度下地工程から行っております。新たな仏像を造る時と同じ工程や手間をかけておりますので、再び長い歳月おまつり頂くことが出来ます。
修復にかかる費用は仏像の大きさや傷み具合、修復の方法によって様々ですので、訪問して仏像を拝見の上、お見積をさせて頂いております。
ぜひ、お気軽にご相談下さい。

 

阿弥陀如来立像の修復(その1)

宗派:浄土真宗本願寺派(お西)
寸法:身丈1尺2寸(約36cm)
今回は、お仏壇洗濯と一緒に、仏像も修復いたしました。

修復前

破損状態

仏身
大きな破損・亀裂など見られず比較的保存状態も良好でしたが、右手指先が欠失していました。

台座光背
全体に下地層の劣化が進行しており、蓮弁彩色下地層には剥離が見られました。また仏身や光背を支えるホゾが劣化・摩耗しており直立姿勢を保つことができず非常に不安定な状態でした。全体的に大きな木地破損などは見られませんでしたが蓮弁・光背櫛などの部材の一部が欠失していました。

主な修復工程(仏身:部分修復/台座光背:解体修復)

記録
採寸・写真撮影

解体
1)大まかな部材に解体
2)銘文・胎内納入物の調査
3)古い下地層を除去し細かな部材まで解体
4)乾燥 日陰干し

組み立て・木地修復
1)組み立て
2)欠失部、劣化部材の新調取替え
3)小さな破損、凹凸、ひび割れの修復(人口木材、パテ)
4)直立し安定するよう調整
※光背の櫛や蓮弁は塗太りなどを防ぎより美しく仕上げるため、組み付けず個別に木地修復をし塗箔または彩色を施した後に組み付けました。

下地・金箔
1)箔下地を塗布し金箔を貼った。
2)仏身は欠失した指先を新補し、部分的に塗箔をした後に古色を施しました。

彩色
1)蓮弁に彩色を施し、全体を組み付け修復完了としました。

部材ごとに解体・古い下地を除去

地擦り板裏と光背正面から墨書が発見されました。

劣化摩耗し不安定になっていた光背ホゾを補強し、安定して直立するよう調整しました。

足ホゾも部材を足して補強調整しました。

光背は劣化・欠失していた櫛を新補交換し、間隔が均等になるよう配置・角度を調整しました。

木地修復完了

金箔下地を塗布

金箔を貼り、蓮弁に彩色を施しました。

個別に仕上げた蓮弁・放射光背の櫛を組み付ける。

欠失していた指先を新補し、部分的に塗箔をした後に古色を施す。

全体を組み付け修復完了

 

蓮華台座の修復(その2)

宗派:臨済宗妙心寺派
仏像:阿弥陀如来立像(雲舟後背 丸台座 踏割吹蓮華)
寸法:身丈1尺2寸(約36cm)
今回は、お仏壇洗濯と一緒に、仏像も修復いたしました。宗派的にはめずらしい阿弥陀如来様をご本尊とされています。

修復前

破損状態


1)蓮弁の接着の緩みから起こる歪みが見られた。また光背を支持するホゾの構造が弱く、後ろ面の蓮華でホゾが固定されていた。
2)接合に用いられた膠の劣化により部材が歪み、各所に亀裂が見られ、ともなって下地層の剥落が見られた。
3)以前の修復の際、古い下地層の除去、研磨が十分になされないまま塗箔が施されており、全体的に塗り重ねによる塗太りが見られた。

主な修復工程

【修復方法】

全解体修復
一度古い下地を除去し部材ごとに解体します。再度接着し破損部を修復・新たに塗箔を施します。

記録
1)部材ごとに解体・銘文調査
2)古い下地層の除去
3)組立て・木地修復
4)下地・塗り・箔貼り
5)蓮華彩色・組上げ

【変更点】

 柱
獅子の周りに不均等に配置されており、形状から制作年代も台座本体と異なると思われるため今回は外させて頂きました。
 蓮華の彩色
修復前の明るい紫から落ち着きのある緑に変更させて頂きました。

部材ごとに解体・下地除去。銘文の有無を調査し、各層ごとに組立て、安定して 直立するよう調整。

破損部・摩耗部を修復。不足していた蓮弁を新補し調整。

光背も台座と同じく部材ごとに解体・下地除去

光背先端部に部材を足し、以前は極端に角が立った光背の稜線をなだらかにしました。

木地修復完成し、金箔下地を塗布

金箔を貼り、蓮弁に彩色を施す。台座金物は鍍金直し修復をし、最後に組み付ける。

蓮弁はバラバラの状態で塗箔・彩色を施した後、蓮肉部に組み付ける。

全体を組み付け修復完了

 

阿弥陀如来立像の修復(その3)

宗派:浄土宗
寸法:身丈9寸(約27cm)
今回は、お仏壇買い替えに伴い、仏像を修復いたしました。

修復前

破損状態

全体に金箔で仕上げられている表面が埃や油煙により黒く汚れ尊容を損ねていました。また金箔下地層の劣化から表面に細かな凹凸が見られ、頬部などには木地との剥離が見受けられました。

主な修復工程

一度部材ごとに解体し、劣化した金箔下地層の除去・木地修復を施した上で塗箔を一新する修復を施しました。

部材解体・金箔下地層除去
1)部材ごとに解体し、金箔下地層を除去しました。
2)部材接合面に残った古い膠を除去し、玉眼を取り外して洗浄しました。
※胎内からは墨書や納入物など特筆すべきものは発見されませんでした。

木地修復
1)木地を組立て、破損箇所を修復しました。
2)玉眼を取り付け、顔部材内側から眼を描き入れました。
3)右袖部材は体幹部とは個別に木地修復・塗箔まで仕上げた後に組み付けました。
※割袖(わりそで)という技法で、個別に仕上げることにより袖の内側など組み付けた状態では手の入りにくい個所まで十分に仕上げることができます。

金箔下地塗・金箔貼り・面相描き入れ
1)金箔下地塗りを施し、金箔を貼りました。
2)仏身肌部には金粉を蒔き付け仕上げました。
3)個別に仕上げた右袖部材を接合し、部分的に金箔下地を塗布・研ぎあげて均し金箔を貼りました。
4)最後に面相を描き入れ修復完了としました。

部材ごとに解体して金箔下地層除去

木地修復完了

金箔下地塗り完了。袖内側に金箔を貼り接合。

全体に金箔を貼り仕上げ、面相を描き入れて修復完了としました。

仏画掛軸表装直し




代々受け継がれてきた大切な仏像・仏画を、心をこめて修復させていただきます。寺院様の仏像や仏画も多数、修理修復させていただいております。地域を問わず、まずはお気軽にお問い合わせください。