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日本を代表する仏壇産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。

今回は、大阪府茨木市のお客様へ納品させていただいた浄土真宗本願寺派(お西)のお仏壇をご紹介いたします。

 

【大阪府茨木市のお客様 浄土真宗本願寺派(お西)のお仏壇】

 

最初は、ホームページをご覧になってお問い合わせをいただきました。滋賀県にお住まいの息子さんからのお問い合わせで、お電話で色々とご説明をさせていただくと、まずは息子さんがお店までお越しくださいました。何店か見てまわられたようですが当店を気に入っていただけて、後日お母様と妹さんの3人でお越しになり、再度詳しくご説明をさせていただくことになりました。
お話を伺うと、亡くなられたのはお父様で、大阪府茨木市のご実家にお仏壇が必要ということでした。遠方なので、何度もお越しになったり何軒も見てまわったりするのは大変だろうと、息子さんがご自分で下見をされてから、気に入っていただけた当店に絞ってお母様をお連れ下さったようです。

お仏壇については、伝統的な彦根仏壇(彦根仏壇組合合格壇)をお求めいただきました。ただ、仏間がご自宅になかったので、和室の1間の押入れを改造して、その一部を半間の仏間にすることになりました。そこで、茨木市のご自宅まで見に行かせていただきました。すると、仏間にできるスペースにゆとりがあり、ご希望されていたお仏壇(18号)では小さくお祀りもしにくくなるため、もうひと回り大きいサイズ(20号※)にすることをご提案しました。

※20号:戸幅(扉を閉めたときの幅)が2尺(約60cm)のサイズ

仏間の施工は、このお宅を施工した住宅会社さんが請負うことになり、後日、お客様宅にて施工業者さんと入念に打合せをし、理想の仏壇寸法から仏間の寸法を最終的に決定しました。幅は20号ですが、手造りで一から製作するため、奥行きや高さは仏間に合わせて微調整ができます。その後、お見積もりを差し上げたのちに仏壇の製作に取り掛かります。今回は、展示していた彦根仏壇組合合格壇と同じようなお仏壇をご希望でしたので、その基準に合格するように造っていきます。また、材料や仕様も展示品よりグレードの高い最上級のものをご提案し、その提案通りでご依頼いただきました。

 

木地

木地・宮殿が完成しました。木地は、仏壇の土台となる塗る前の状態のものをいい、木地師という専門の職人が製作します。お仏壇の中央、仏像や本尊を安置する宮殿(くうでん)は、屋根や柱などを宮殿師が製作します。板材は、側面の板を除いて、木曽檜(ヒノキ)造りです。木曽檜は、中心部分である赤身を使用しています。木目が分かるように塗る正面部分は、きれいな木目がある栓という無垢材を貼っています。

木曽檜は、他の檜材とは木目の細かさなども異なり、檜の中でも別格の最高品質を誇ります。最高級の材料を贅沢に使ったお仏壇です。

 

猫戸(引き戸)を取り外すと奥はこのようになっています。左側は上下二杯引き出し、右側は御文章箱を入れる空間となっています。猫戸・引出しともに、細かい細工が施されています。

 

引き戸の下は、台輪引き出しになっており、この底板にも、木曽檜の赤身の木目がきれいに見える部分を使用しています。その下にも大きな引き出しがあり、こちらは桐製で打敷を収納するように作られています。

 

完成した木地にきちんと仏具が飾れるかどうかを確認しています。万一寸法等が違っていると完成してから仏具を飾れないことになるので、この段階で一旦確認をします。

 

仏像も実際に置いてみて、お顔がきちんと見えるかどうかなどを確認します。仏像のお顔が見えなくても、逆にあまりに低くすぎても見た目が悪いです。もしバランスが悪ければ柱等で調整します。

宮殿の屋根の細かい細工もきれいに見えています。紅松などの細かい加工に適した木材を使用した、細かく手の込んだ造りになっています。

 

塗り

漆塗りの工程に入りました。完成して仮組した木地を分解して塗りに入ります。左手前は障子の框(枠)、その隣は雨戸(扉)です。

 

左はお仏壇の側板(側面板)、右はお仏壇上下に位置する台輪部分です。

漆塗り師が、塗る場所や塗る漆によって、たくさんの種類の漆塗り刷毛を使い分けて塗っていきます。ちなみに、漆塗り刷毛は、通常人毛を使用します。塗らないと思われている、あとで金箔を押す(貼る)部分にも平滑な面を作るため漆を塗ります。

塗り上がったものを仮組みしました。塗り足りないところはないか確認したり、このあとの金箔を押す(貼る)部分を指定したりします。

 

今回は、漆塗りも最高級の蝋色(鏡面)仕上げをご指定いただきました。漆塗りは、漆を塗ったあと表面を研いで平らにし、また塗って・・・という工程を繰り返して、ギザギザの面を少しずつ平らにして鏡面に仕上げていきます。このような鏡面のつややかな仕上がりになるまでは、20回以上の工程を繰り返し塗っています。金箔を押す(貼る)お仏壇の内部は、金箔が光り過ぎないようにツヤ消しで塗っています。

先ほど木目が見えていたお仏壇の上部や下部の台輪部分は、木目を活かした赤みのある独特の木目出し塗りに仕上がっています。これは、彦根仏壇の特徴の一つでもあります。

 

組み立て

塗りの工程と仮組みが終わると、また分解して金箔押し(貼り)の工程に入ります。金箔押しが完了すると組み立てに入ります。

 

随分、組み上がりました。中央には、金箔を押した宮殿も組み上がりました。この後、前狭間の彫刻や、雨戸(扉)の錺金具など、すべての部品を取り付けて組み上げると完成です。

 

完成

完成しました!

 

左は障子を閉めたところ、右は雨戸(扉)を閉めた状態です。

 

障子の真ん中には、こういった金具が取り付けてあります。私どもで「めし合わせ」(または八双)と呼んでいる部分で、今回はデザイナーさんに依頼し、いつもとは少し違うデザインのものを製作しました。天平文様という伝統的なデザインで、仏具では打敷(うちしき:仏壇に飾る金襴で織られたきらびやかな三角や四角の布)などの裂地によく使われます。材質は銅でできています。

 

今回のお仏壇は、彦根仏壇組合合格壇として合格するように製作しました。国の伝統的工芸品として指定されている産地彦根では、彦根仏壇事業協同組合の厳格な基準に則った検査に合格すると、彦根仏壇組合合格壇として、このような焼印と検査合格書をいただくことができます。左は正面真裏、右は一番上の笠の裏側です。彦根仏壇組合合格壇は、伝統的工芸品に次ぐ厳しい基準で造られた手造り仏壇です。

 

ご納品

完成した仏間に納品させていただきました。

納品時には、施工業者さんによって唐紙を付けた立派な仏間が完成していました。入念に打ち合わせをしたので、お仏壇にぴったりの仏間です。正式には、「お西用桜花20号前開き」というお仏壇になります。外幅70cm、奥行 69cm、高さ166cmです。

 

【仏像白檀金泥入り 金箔木瓜丸台座 特上彫 ダイヤモンド・瑪瑙入り】

ご本尊は仏像で、最上級の仕様です。両脇の掛軸はご本山より一番仕立ての良い金襴の掛軸をご用意いただきました。中央は阿弥陀如来、向かって右が親鸞上人、左が蓮如上人です。掛軸の紺色の表装部分は「雲鳳凰柄」といって、雲と鳳凰をモチーフとしたお西専用の柄になります。その内側の赤と白の部分はお西の紋が入っています。仏像の上部にはスポットライト(LED)が入り、演出効果抜群です。

 

三具足は、お西の正式な形である木瓜菖蒲型の花立を供えた銅製のものです。細部まで正式なお西のお仏壇です。

 

引き戸には、鳥に草花という図柄の蒔絵が施されています。青貝をあしらった豪華な蒔絵です。展示品と同じものですが人気の図柄で、今回はこちらをお選びいただきました。引き戸の手前には、お西の宗紋の蒔絵が入った和讃箱(わさんばこ)があります。和讃というお経を納めるものです。

 

前狭間です。細かく繊細に彫り込んでいるので、活き活きとした仕上がりです。

 

仏額(無量寿額)は、今回新しくご用意させていただきました。書は清水寺の貫主 森清範様(今年の漢字を毎年書かれている著名な方です)の手で、仏間に合わせた寸法で特別に製作いたしました。

お客様は、完成したお仏壇を見て、「きれいに立派に仕上げていただいてありがとうございます」と、大変喜んでいただきました。今回のお客様は、当初から当店に絞ってご来店くださり、信用して頼りにしてくださっていることを感じておりました。こちらからのご提案にも納得して信頼の上でご依頼くださったので、時間も費用も掛かりましたが、こだわって丁寧に製作した甲斐あって、仏壇だけではなく、仏像・仏額に至るまで素晴らしい仕上がりになり、お客様のお家にふさわしいものを揃えて、お納めすることができたと思います。喜んでいただくことができて、なによりうれしく思います。

細部まで丁寧に製作し、完成までには半年という時間がかかりましたが、11月に迎えられるというお年忌は間に合わせることができました。辛抱強くお待ちくださったお客様には、本当に感謝申し上げます。また、このたびは当店へご用命いただきまして、ありがとうございました。末永いお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。