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日本を代表する産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。

三重県四日市市のお客様へ、4尺三方開き、浄土真宗本願寺派の伝統的工芸品の彦根金仏壇を製作させていただきましたので、ご紹介いたします。

 

【完成した伝統的工芸品の彦根金仏壇 納品時のお写真】

 

今回のお客様は、当店で30年ほど前にお仏壇をご購入いただいたお客様からのご紹介で、ご来店くださいました。このたび、お父様の50回忌のご法要のご予定があり、それを機にご自宅にあるお仏壇を買い替えたいとのことでした。当店の展示場もご覧になったのですが、「時間がかかっても構わないから、自分の満足いくものを一から作ってほしい!」とご希望でした。

お客様のご自宅の仏間の広さに合わせたものを作るため、まずはご自宅に寸法を計りにお邪魔しました。仏間は、幅と奥行きは基本的にはだいたい同じような寸法ですが、高さは特に気をつけてきちんと合うように採寸します。
それまでお参りしてこられたお仏壇は、私が拝見したところでは少なくとも80年以上(!)は経っているのではないかと思われる立派なもので、とても大切にお参りしてこられたのが分かるお仏壇でした。

 

木地を作って仮組みしたところです。木地は、仏壇の土台となる、塗る前の状態のものです。この状態で再度お客様にご来店いただいて、「どんな材料を使っているか」「どういうふうに作っているか」を見ていただきます。塗ってしまうと材料などは分からなくなってしまいますので、当店ではこの状態でご確認いただいています。その際、塗り方や彫刻・蒔絵(※)の柄などの打ち合わせをさせていただきます。

(※蒔絵:まきえ・・・まず漆で絵を描き、漆が乾く直前に金粉を蒔き、漆が乾くと金粉が密着する、という伝統的な技法)

塗りの前にお客様にこうして見ていただくと、「塗るのがもったいないくらいきれい!」と言われることもよくあります^^ この状態のお仏壇を見る機会はなかなかありませんよね。実際、木のいい香りがしてとてもきれいです。また、伝統的工芸品の場合は合板(ベニヤ板)を使っていませんが、塗る前でしたらそういったこともしっかりと確認していただくことができます。

 

こちらは、お仏壇の内部を下からのぞいたところで、お仏壇の天井部分です。格天井(ごうてんじょう)とよばれるもので、建築でも使われている伝統的で格式高い、とても手の込んだものです。

 

こちらは御文章箱(ごぶんしょうばこ)です。片開きで開いている扉の中にあるのが御文章箱で、浄土真宗本願寺派の仏具のひとつです。下は台になっています。使わない時は扉を閉めて収納することができます。昔と違って、最近のお仏壇ではこのように収納も工夫されています。

 

こちらは引き台になっています。桐でできた引き出し式の台で、上の台はお経の本やお供えを置く場所として使います。下の台は、打敷(※)を折りたたまずに収納することができます。打敷にしわができない、当社オリジナルのものです。

(※打敷:うちしき・・・仏壇に飾るきらびやかな布)

 

漆を塗った状態です。このお仏壇は金仏壇ですので、最終的には金箔を貼りますが、下には一度すべて漆を塗ります。仮組みしたものを一度分解し、漆を塗ってから再度仮組みして、組み立てがきつくないか、ゆるくないかなど確認をします。

 

柱はツヤ消しで漆を塗っています。ツヤのある漆の上に金箔を貼ると金本来の風合いを損ねてしまうので、あとで金箔を施すところはすべてツヤ消しで漆を塗っています。

 

金箔を貼って、組み立てていく途中です。御文章箱の収納部分には蒔絵を入れています。お客様のご希望で、扇の蒔絵です。

 

伝統的工芸品の彦根仏壇は、厳格な基準に則って、昔ながらの手作りで造った仏壇です。検査委員会という機関があって、そこでしっかり検査してもらい、合格するとこの焼印と「検査合格証」をいただくことができます。

 

完成したお仏壇に、仏具を飾らせていただいた様子です。LEDライト付きで、阿弥陀様を明るく照らしています。

 

完成してご納品させていただいた時の様子です。横幅4尺、正面と両側面が開く三方開きのすばらしいお仏壇です。

今回のお客様は、若くして亡くなられたお父様をこれまで大切にお参りしてこられて、50回忌をひとつの節目として、できるかぎりのご供養をしたいとお考えでした。一から作り上げることで、蒔絵の柄や彫刻などもこだわってご自分の納得いくお仏壇を造ることができ、とてもご満足いただけたと思います。

今回はご注文からご納品まで、約8ヶ月もお待ちいただくことになりました。展示場のものから選んでご購入いただくことも可能で、その方がより早く、よりお求め安くご購入いただけたのですが、それを分かった上で、「かかる時間も費用も関係なく、納得いくものを作りたい」とご注文くださいました。そのお気持ちを受け止めて、私どもも精一杯心をこめてお仕事をさせていただきました。

お仏壇は、単なる工芸品ではなく、気持ちのこもった特別なものです。私ども作り手もそのお気持ちを受け止めて、真心のこもったもの作りをしていかなくては・・・と改めて感じました。