ホームページをご覧いただきまして、ありがとうございます。

日本を代表する仏壇産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。

滋賀県彦根市のお客様より、4尺3方開きの大型仏壇の洗浄(一部修復)のご依頼をいただきましたので、その様子をご紹介いたします。

 

滋賀県彦根市 真宗大谷派 4尺3方開きの大型仏壇 お洗濯(修復)

 

今回は、お仏壇の洗浄をさせていただきました。45年前、私の祖父と父の代に、お客様のご両親様がご購入されたもので、それ以来ご縁のあるお客様です。お仏壇はご実家にあったのですが、このたびお一人暮らしだったお母様が他界され、お客様のご自宅へ移動するにあたり、古くなっているのできれいにして持って行きたいということで、お仏壇の洗浄(一部修復)のご相談をいただきました。

 

こちらは、お引き取りの時のお仏壇です。45年前にご購入いただいた4尺3方開きの大型仏壇で、お客様のご実家にあったものです。きれいにされていますが、よく見ると金具に青錆が出ていたり、金箔が剥げていたり、塗りのツヤがなくなっていたりするところが見られました。最近では、こうした大きなお仏壇を小型のお祀りしやすいお仏壇に買い替えられる方も多いですが、ご両親様が大切にされてきたお仏壇なのでこのまま持って行きたいというご希望で、お仏壇本体の洗浄・修復に加え、ご本尊や仏具などもきれいにして、お客様ご自宅へ設置することになりました。

 

お引き取りの際にご本尊や仏具などをすべて取り外し、工房へ持ち帰りました。お仏壇の洗浄(一部修復)は、

お引き取り → 解体 → 洗浄 → 乾燥 → 木地直し → 塗り → 金箔押し・蒔絵 → 金具 → 組み立て → 納品

という流れで行います。これから、解体に入ります。

(洗濯・洗浄の詳細はこちらをご覧ください→「洗濯・洗浄」

 

お障子を閉めたところ、扉を閉めたところです。解体前には、まず全体的に検品を行います。引き出しや扉・障子がきつくないかなど、組み立ててある状態で確認しておくところをチェックしておきます。

 

こちらは扉の金具です。このような青錆が、金具の釘の部分を中心に見られました。お仏壇の材木に塩分があると、釘がその塩分を吸い上げて、このような青錆が出てしまうことがあります。現在は、塩分のない材木を選定して使用していますが、このお仏壇が作られた頃は大量生産の時代で、しっかりとした検品ができずに塩分をわずかに含んだ材木を使用してしまっている場合もあります。どちらにしてもすぐにはわからず、数年経ってから出てくるものなので、私たちにとっても厄介な現象です。

 

こちらはお仏壇の引き出し部分です。こちらも一部だけ青錆が見られます。金具は取り外してメッキをし直してきれいにします。ただ、そのままの状態で金具を取り付けるとまた材木から釘が塩分を吸い上げて、青錆が出てしまいます。そこで、釘を打つ部分に「ダボ」のような形の別の木材を埋め込みます。この作業を手抜きする業者もあり、注意が必要です。

 

解体が進みました。お障子や扉を外しながら、問題のあるところがないか確認します。

 

こちらは解体した扉です。先ほどの青錆が出ていた金具をとりはずし、釘を打つところに埋め木をしました。ほかの部分は通常の釘穴です。

 

こちらは、お仏壇の引き戸に描かれている蒔絵です。下から1cmくらいのところが剥げてしまっています。おそらく布でこすって拭かれた際に表面の金粉が剥げて、下の漆(弁柄漆)が見えてしまっている状態です。

 

反対側の戸の蒔絵です。こちらも同じように金粉がとれて漆が見えています。どちらも描き直してきれいにします。

 

こちらは輪灯瓔珞(りんとうようらく)という吊り仏具です。全体にツヤがなくなり、赤白のビーズや飾りを通している針金は劣化していました。今回は、針金でつながっている下がりの部分の交換(メッキ加工含む)、丸竿と傘の消し金メッキ加工を行います。

 

お仏壇を解体・分解して問題のあるところを確認したら、洗浄に入ります。こちらは洗浄中の様子です。取り外したお仏壇の彫刻等の細かい部品を、このように洗浄します。

 

洗浄液につけて、油煙やホコリなどの汚れを取り除きます。このようにひとつひとつ、丁寧に行っています。

 

すべて洗浄したら仮組をして、木地直しに入ります。ゆがみ等がないか確認し、木地の悪いところは交換したり、調節したりします。

その後、塗りや金箔押し、蒔絵の修復や金具の取り付けなどを行い、最終的な組み立てをして納品となります。

 

ご納品の際の様子です。お客様のご自宅には仏間がなく、物入れだったところを仏間に改造されていました。また、そのお部屋が2階だったので組み上げて完成した状態のお仏壇では持ち込むことができなかったため、工房で一旦組み立てたものをばらし、この仏間の前で再度組み立ててご納品となりました。

 

ご本尊は、45年前のお仏壇購入時にご購入いただいたものです。こちらはそれほど状態も悪くなかったので、今回は、すす払い・金箔補修・面相直し(顔の目や唇に色を入れること)などを行いました。両脇の掛け軸もお仏壇購入時にご購入いただいたもので、ご本尊と同じく良い状態でしたので、ほこりを取ったりといった簡単なお掃除程度です。

 

引き戸の蒔絵はきれいに描き直して修復しました。その下の引き出しは、スムーズに開閉できるように調整し、金具の青錆もきれいになりました。鳳凰が描かれたきらびやかな打敷(うちしき)も今回ご購入いただきました。

 

今回は仏額もご購入いただきました。毎年今年の漢字を書かれることで有名な、清水寺貫主 森清範様筆のものです。紙が浮き出して立体的に見える本紙浮加工で高級感があります。

 

全体にツヤがなくなっていた輪灯瓔珞も、交換や消し金メッキをしてきれいになりました。真鍮仏具も同じように金メッキをし直して、45年前にご購入いただいた時とおなじような輝きを取り戻しました。

 

お客様は、あまりの変わりぶりにびっくりしながら、とても喜んでくださいました。以前の古いお仏壇のイメージがあったので、こんなにきれいになるとは予想外だったようです^^ お客様に喜んでいただけることは、私どもにとって一番うれしく、今後の励みになります。今後もなにかお困りの際は、いつでもお声かけください。

お客様は、「苦労して両親が買った仏壇を買い替えるのは忍びない」「親が大切にしてきたものを受け継いでいきたい」という思いから、今回の洗浄(一部修復)に至ったそうです。お客様には二人のお姉さまがいらっしゃるのですが、報告すると泣いて喜んでおられたそうですから、お姉様方も同じ思いをお持ちで、それを弟さんが受け継いでくれたことがとてもうれしかったのでしょうね。こうして代々お仏壇とともに思いが受け継がれ、つながっていくことは、お仏壇作りに携わる者としてとても嬉しく、心があたたかくなりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(洗濯・洗浄の詳細はこちらをご覧ください→「洗濯・洗浄」