近江八幡市のお客様のご依頼で、お寺様へご寄付される人天蓋を新調。12年前にも幢幡をご寄付

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日本を代表する産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。

今回は、近江八幡市のお客様より、お寺様へご寄付される人天蓋の新調をご依頼いただきましたのでご紹介いたします。

 

人天蓋六角形柱付総瓔珞(ようらく)下がり 彩色天女付

 

「檀家のお寺様に寄付をしたい」という近江八幡市のお客様からご相談をいただきました。ご長寿の感謝を込めて、お世話になったお寺様に何かお返ししたいと思われたそうです。以前に当店でお仏壇をご購入いただいてからご縁があり、12年前に同じお寺様へご寄付された仏具も当店でご購入いただくなど、長年お世話になっているお客様です。

 

こちらは、「人天蓋(じんてんがい)」という仏具です。天蓋は、笠状の装飾具として知られていますが、仏様の上にかざすものを仏天蓋(ぶってんがい)、ご住職様など人が座る上をかざすものを人天蓋(じんてんがい)といいます。確認したところ、作られてから長い時間が経っていて大変傷んでいました。12年前に他の仏具をご寄付される際にこちらのお見積りも差し上げたのですが、修復すると新調以上に費用が掛かる見積りとなってしまいました。お客様もそれを記憶されていて、今回はこちらの人天蓋の取り換え・新調を検討されました。

 

四角形のタイプで、このように天井にフックを取り付けて吊り下げられています。かけ替えの際に注意しなくてはいけませんので、確認のために現状を写真に収めました。

 

人天蓋の奥には、お客様が12年前に寄付された幢幡(どうばん)があります。これも天井から吊り下げるタイプの仏具です。対になっており、どちらも12年前にお客様が当店からご購入・寄付されたものです。お客様とお寺様がお話をされた結果、今回はお客様のご希望通り、古くなった人天蓋を取り換え・新調させていただくことになりました。

 

新しい人天蓋の設置のようすです。古い人天蓋を取り外し、新しいものを台に乗せて設置準備をします。まずは、端にある龍頭(りゅうず)を取り付けています。

 

六角形の人天蓋の端すべてに龍頭(りゅうず)を差し込んで取り付けていきます。デリケートな龍頭がない状態の方がスムーズに作業が進むため、ここまで持ち上げてから龍頭を取り付けています。

 

龍頭をすべて取り付け終えました。いよいよ人天蓋を吊り下げます。

 

吊り下げ作業が終わると、瓔珞(ようらく)という飾りを一つずつ手作業で取り付けていきます。本体の方にフックがついており、取り付けて曲がっているものはまっすぐに直すなど、調整しながら進めます。

 

設置完了です! 以前寄付された幢幡もあわせて、素晴らしい仕上がりです。

 

欄間部分には、淡彩色の鳳凰の彫刻が施されるなど、細部まで細かい彫刻がなされています。

 

瓔珞部分はこのようなきらびやかな作りです。今回は、龍のアゴにも瓔珞がついた、アゴ下がり付き仕上げとなっています。

 

人天蓋内部には、お二人の天女様が金箔の上に彩色で描かれています。中央は、蓮の花をモチーフにした飾りです。天女様の間には、寄付されたお客様のお名前もきちんと記させていただきました。

 

ご住職様には、以前の天蓋と比べてもとても立派で素晴らしいと喜んでくださいました。12年前にご寄付をされた幢幡が新調した天蓋と色艶が変わらないことにも驚かれて、「いい金箔やから色落ちしてないんやなあ」と、色あせがない幢幡のこともお褒めいただきました^^

お客様も、きらびやかな瓔珞がたくさんついていて、想像よりも立派な人天蓋だとおっしゃってくださり、中に描いてある天女様も気に入っていただけたようです。ご自分がお元気でここまで長くこられたのは、自分自身の力だけではなく、仏様に見守られて生かされてきたからだという感謝の想いから、今回のご寄付をされたお客様。そうしたお気持ちに触れて、私もとても嬉しく、あたたかい気持ちになりました。このたびはお声かけいただき、誠にありがとうございました。これからも50年・100年と、子々孫々まで末永く功績を残すお手伝いをさせていただきましたこと、大変光栄に思います。また、今後ともこれまで通り、何なりとお気軽にご連絡くださいませ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。